「平成の大合併」の最中、2004年に誕生した新潟県の南魚沼市。同市を語るキーワードは多い。上質のコシヒカリや、豪雪をいかしたスキー場。大河ドラマ『天地人』の主人公・直江兼続(なおえ・かねつぐ)を輩出したことでも知られる。観光のウリがそれなりに多いとくれば、重要になるのは外部へのアピールであろう。
銭渕(ぜにぶち)公園、六日町(むいかまち)大橋、坂戸(さかど)城跡……。南魚沼の誇る名所・旧跡を、同市在住の美少女たちが案内する地域密着型の観光パンフレット、「美女旅」が全国的な反響を呼んでいる。2012年8月に発行されると、約1万2000部が品切れ状態に。年が明けて3月には「冬編」も登場した。手に入れられなかった人も、公式ホームページに行けばページをめくるような演出で内容が楽しめる(こちらのサイトのアクセス数も順調に伸びているとのこと)。一般のガイドとは異なって、観光スポットの紹介文はおさえられ、風景よりも「美女」がメイン。まるでタレントの写真集のようで、思い切った印象も受けるが、たしかに現地の楽しそうな雰囲気は伝わってくる。巧みなコンセプトといえそうだ。いまや地域観光のPRも戦略の時代である。