村人の中に狼が潜んでいる。正体を突き止められるのか、それとも食べられてしまうのか? ……そんなスリリングなゲームが話題だ。「汝は人狼なりや?(Are You a Werewolf?)」(アメリカのルーニー・ラボ社の商品名から)、ないし単に「人狼」と呼ばれているもの。世界各国で同様の内容を持つカードゲームが発売されているが、日本ではイタリアのダ・ヴィンチ社の『タブラの狼』が多く使われている。ネットの掲示板上で繰り広げられる推理ゲームとしても人気で、相手の顔が見えない状況でのプレイは知的興奮度が高い。フジテレビやTBSがバラエティ番組の題材としても採り上げた。
基本となるルールはこうだ。プレイヤーは「人間」と「人狼」に分かれる。昼間はおとなしくしている人狼も、夜になると村人を襲う。そこで人間は、狼だと疑わしい者を一人ずつ処刑しなければならない。人狼をすべて当てたら人間側の勝ち。逆に少数派の人狼は、村人たちを圧倒する(村人と人狼が同数になると、もはや人間は食べられる運命にある)のが目的だ。ゲームは話し合いによって進められる。相手の発言がウソをついているか、それとも真実かを探っていく。疑い出すと何もかも弁解に聞こえてくる不思議。人が人を信じることの危うさとともに、それでも最終的には誰かを信用しなければ生きていけないことがわかる、奥の深いゲームなのだ。