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NHK連続テレビ小説の『あまちゃん』は、架空の地「北三陸市」が舞台だが、そのモデルとなっているのが岩手県久慈(くじ)市。劇中に出てくる「まめぶ汁」も、実際は同市の名物だ(より正確には市内の旧・山形村の一帯だけに伝わっていた料理)。「久慈まめぶ汁」の名前で、地域グルメの人気イベント「B‐1グランプリ」にも参戦している。
まめぶ汁の「まめぶ」とは、山ぐるみと黒砂糖の入ったお団子。これを野菜・焼き豆腐・油揚げなどとしょうゆ味で煮込むという、具だくさんの料理である。「しょっぱいと思ったら甘い」という個性は、『あまちゃん』の中でもおもしろおかしく取り上げられている。このまめぶ汁、実は東日本大震災のときに炊き出しの料理としても活躍した。震災当時、久慈市で開催目前だったイベント用の食材が活かされたのだという。人々の傷ついた心を癒やしたまめぶ汁を『あまちゃん』に「出演」させたのは、制作側も意図があってのことかもしれない。