2012年12月に東証マザーズへの上場を果たしたバイオベンチャー、「ユーグレナ」の株価が絶好調だ。同社が扱うのは、理科の時間に覚えさせられた「ミドリムシ」。鞭毛(べんもう)で動き回れる点においては「動物」、葉緑体を持って光合成する点では「植物」という、興味深い存在だ。「ユーグレナ」という社名はこのミドリムシの学名で、栄養素が豊富なことから健康食品として耳目を集めつつある。
同社の社長・出雲充(いずも・みつる)氏は、東大農学部出身。在学中からミドリムシに注目し、銀行員を経て起業した(ちなみに研究所の所在地は、本郷キャンパス内の東京大学アントレプレナープラザ)。実は日本では、ミドリムシの重要な研究が志半ばで中止になった経緯がある。いったん打ち切られた研究開発を受け継ぎ、大量培養にこぎつけたのは、出雲氏らのすばらしい成果だ。現在、マスコミではミドリムシ入りのケーキやラーメンなど「食」の面での紹介が多いが、それ以外にも地球規模の展開を目指している。たとえば、バイオ燃料の研究だ。同社サイトには、ミドリムシのジェット燃料が飛行機を飛ばす未来が語られている。