ウナギ養殖は、ニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」を得ることから始まる。最近のウナギ価格の高騰は、この稚魚が記録的な不漁に陥ったことによるものだ。環境省は、2013年2月にニホンウナギを絶滅のおそれがある「絶滅危惧種」に指定した。水産庁によれば、シラスウナギの漁獲量は1960年代に約230トンでピークを迎えて以来、現在約10トンにまで落ち込んでいる。もちろん親ウナギも同様だ。
であるならば、残念だが今年の土用の丑の日はウナギをガマン……とはなかなかいかないようだ。食の楽しみは人間の業といえる。この状況で注目されているのが、インドネシアなど東南アジアに棲息するウナギ「ビカーラ」。日本経済新聞に「業界関係者」の声が紹介されていたが、「ヨーロッパウナギほどではないが、北米のロストラータなどに比べるとニホンウナギに似て」いるとのこと。要するに、妥協しうる種類ということらしい。「新顔」なだけに養殖技術の確立はまだこれからだが、ニホンウナギの半額程度で供給でき、不振にあえぐ業界では期待が寄せられている。