政府が6月に閣議決定した成長戦略で、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売が原則解禁されることになった。市販薬約1万1400品目のうち、そのほとんどがネットで買えるようになるわけだ。健康・医療分野を重点政策に掲げる安倍政権にとっては、いわば肝いりの政策である。
そのきっかけは2013年1月の最高裁判決。一部の薬品を除いてネット販売を規制してきた厚生労働省の省令を「違法で無効」と断じたからだ。
ネット販売で便利になるのは、離島や山間部の僻地に住んでいる人、病気やけがで外出が困難なお年寄りなど。最近は都市部にも増えているという「買い物難民」にとっても朗報だろう。
一方で、街のドラッグストアなどは売り上げが減る。これまで薬剤師による店頭での「対面販売の義務づけ」で優位に立ってきたが、薬剤師の団体などは「直接、服用方法などの情報を伝えられないため、安全性が損なわれる」と反発している。