現在、皇居の周辺はランナーたちの「聖地」だ。一周が約5キロメートルとキリがよいし、場所が場所だけに治安もよい。四季折々の風景も楽しめるとくれば、一種ブーム化するのも必然の流れであった。ところが、何事も流行りすぎると軋轢(あつれき)を生む。マナー違反のやからは言うに及ばず、あまりに増えすぎたランナーたちは、それだけで一般の歩行者に圧迫感を与えることになった。地元民にとっても行政にとっても悩みのタネなのだ。
そこで千代田区などの皇居周辺地域委員会は、市民ランナーらの意見も聞きつつ、適切なマナーをルール化。9か条にまとめて2013年6月に発表した。「歩行者優先」などの基本的な内容のほか、「周回は反時計回り」、音楽を聴きながら……などの「ながら通行は控える」ことなどを明確にしている。法律的な拘束力はないが、今後の広報活動で認知させていく構えだ。今回の報道を受け、ルールはそもそも当然のマナーばかりで、それが守られなかったことに疑問を感じるといった良識的なランナーの声も続出した。