いま、世界の金融市場が中国経済の「リスク要因」として、固唾(かたず)を飲んでその行方を見守っているのが、シャドーバンキング(影の銀行)問題だ。
シャドーバンキングとは、銀行を介さずに交わされる金融取引全般のことをいう。
中国では、当局の銀行に対する規制が厳しく、銀行に相手にされない信用度の低い不動産会社や、地方政府系投資会社の調達先としてシャドーバンキングが近年、急拡大した。
投資家サイドからすれば、シャドーバンキングは利回りがよく、「理財商品」と呼ばれる高利の金融商品には、財テクマネーがどっと流れ込んだ。その資金が不動産会社などに高利で貸し付けられるのである。
ただ、シャドーバンキングから資金調達して作ったマンションやオフィスビルは、作りすぎたり高すぎたりして売れ残る物件が少なくない。返済が焦げ付けば、当然、不良債権化する。そのため、「リーマンショックを引き起こしたサブプライムローン問題の再来」と危惧する向きもある。
シャドーバンキングの問題は対岸の火事ではない。中国輸出頼みの日本経済を直撃するからだ。シャドーバンキングの融資規模は総額30兆元(約480兆円)にのぼるとの推計がある。