「就活」ならぬ「終活」は、自立した人生のスタートというべき就職とは対照的に、人生のラストをどのように迎えるべきかを突き詰める活動のことだ。生前に自らの葬儀を準備したり、お墓を選ぶことは、いやが上にも生きている「いま」を意識させることになる。最近注目を浴びている「入棺体験」も、この文脈で語られることが多い。
これまでも葬儀関係の業者が展示コーナーのイベントとして行なってきた入棺体験だが、マスコミでたびたび紹介されるようになってからは、得がたい体験の場として関心が集まっている。「生前に棺の中に入ると長生きできる」とよく迷信じみて語られるが、「死を身近にとらえることで無茶な生き方を避ける」という意味では、あながち間違ってはいないだろう。
まだまだ終活にはほど遠いはずの世代の参加も目立つとのこと。日本は、総人口に占める65歳以上の割合が24.1%という「超高齢社会」であり、また東日本大震災で命の危機にさらされる体験をした人も多い。ゆえに、「死に方」をリアルな問題として捉える人が増えているのかもしれない。