クロマグロの資源管理を話し合う国際機関「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の小委員会が9月上旬、新たな漁獲規制策で合意した。
新規制は、幼魚の漁獲高を2002年~04年の平均値から「15%以上削減する」というもの。
クロマグロの資源量は年々減少している。太平洋の資源量は成魚が推定で約2万3000トン(2010年)。1960年ごろは約13万トンだったというから半世紀で2割以下に落ち込んだわけだ。
減少の主因は幼魚の乱獲だ。集魚装置を使って一網打尽にする巻き網漁で幼魚を捕獲し、それを太らせて「養殖マグロ」として売り出す「蓄養」が世界各国で広まっているのだ。そして、養殖マグロの最大の消費国がわが日本である。漁獲高も世界一だ。
マグロは刺し身やすしネタで人気があり、それが食べられなくなると、大切な日本の食文化が失われることになる。一時的な規制は当然だろう。
ここで、注目すべきはマグロの「完全養殖」である。卵を人口孵化させて成魚に育てる技術が近畿大学などの研究で進み、一部で事業化が始まっている。官民挙げてその完全養殖事業を拡大させてほしい。