「Google Cultural Institute」は、歴史的な遺物を誰でも閲覧できる、いわば「オンラインミュージアム」。Googleという企業は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」のが使命ということになっている。文化関連の資料を集め、広く公開するのもこれにのっとったものだ。世界中の美術品を鮮明な画像で鑑賞できる「アート プロジェクト」、世界遺産に親しむ「World Wonders Project」などが存在するが、2013年に注目されたのが、貴重な写真を通して過去を探訪する「歴史アーカイブ」である。

 各国の資料館の協力を得て、「人類史上重大な瞬間の秘話を詳しく伝える」(コンテンツ内の紹介より)という「歴史アーカイブ」のプロジェクト。すでに2012年10月からベルリンの壁崩壊やノルマンディー上陸作戦などの様子が生々しく公開されている。ここに新たに、広島平和記念資料館と長崎原爆資料館の提供する資料が加わることになった。原爆のおそろしさは、まだまだ日本以外の国に浸透しているとはいえず、その意義は大きい。ちなみに、日本関連の資料公開は初めてである。

 「外国人に人気の日本の観光スポット」で、広島平和記念資料館は2013年の1位になっているのをご存じだろうか(口コミによるサイト「トリップアドバイザー」調べ)。それほどまでに悲劇のインパクトがあるということ。世界のネットユーザーに向けて、原爆の爪あとの資料がオープンになったこと、これが少しでも平和への一助になることが望まれる。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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