若者のあいだで、おじさんの代名詞的なヘアスタイル「七三分け」が人気だという。いまどきの七三は、サイドを刈り上げる、フロントを立ち上げるなど、アレンジが豊かだ。スーツ姿とラフなスタイルの両方になじむという「汎用性」もある。その流行ぶりは今年のカジュアルファッション誌をひもとけば明らかで、芸能界でも加藤浩次(こうじ)や伊勢谷友介(いせや・ゆうすけ)らが好んでいる。
どういうわけか、上の世代にとって懐かしいスタイルが、ここにきて次々と復権している。カーディガンを肩にかけて巻く「プロデューサー巻き」は、かつてテレビ業界を席巻したことから命名されたものだが、いまでは女性の装いとしても珍しくない(「プロデューサー女子」なる言葉まで生まれた)。また、『あまちゃん』で松田龍平が演じたキャラクター「ミズタク」が掛けていたことから、丸眼鏡も支持を得ているという。七三に丸眼鏡、カーディガンを巻いたスタイルが、「おしゃれ」となる日が来ようとは。これらの流行は、「×年代ブーム」といった懐古の感覚とはあまり縁がなく、むしろ過去をまったく知らない世代が新しいセンスで取り入れているのが特徴といえるだろう。