乳幼児の肺炎のおもな原因とされるRSウィルス(respiratory syncytial virus infection)が流行の兆しを見せている。
国立感染症研究所感染症疫学センターの報告では、今年10月28日~11月3日の間の患者報告数は4195人。過去最多だった昨年を約1000人上回っている。
RSウィルスには、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が感染すると言われている。呼吸器に障害をもたらすウィルスで、感染から2~8日すると、発熱、鼻汁などの症状が数日続く。
多くの場合は軽症で済み、風邪のような症状で終わるが、重くなると咳がひどくなったり、呼吸困難になったりすることもある。
とくに、乳児期に感染すると、細気管支炎、肺炎を引き起こすこともあるので注意が必要だ。乳幼児の重篤な合併症としては、無呼吸発作、急性脳症などがあり、生後1か月未満の赤ちゃんが感染すると診断が難しく、突然死につながる危険性も心配される。
低出生体重児、心臓や肺に基礎疾患がある赤ちゃん、神経や筋肉に疾患のある赤ちゃんは重症化のリスクが高まるが、RSウィルスにはワクチンはない。かかった場合の特効薬もなく、治療は基本的に症状を和らげる対症療法となる。
感染は、咳やくしゃみなどの飛沫、接触によって起こる。RSウィルスの流行の兆しがあるこの冬は、0~1歳児をむやみに人混みに連れて行かないなどの配慮が必要だ。また、大人が感染していても気がつかないこともあるので、咳が出るなどの症状のある大人はマスクをしたり、こまめに手洗いをするなどして、感染を広げない配慮をする必要があるだろう。