1年間に、国民が医療機関などで、保険診療に要した費用の総額をいう。厚生労働省によると、2011年度の国民医療費は38兆5850億円(前年度比3.1%増)で、過去最高を更新した。3年連続で1兆円規模で増えており、このままだと13年度には40兆円を突破しそうな勢いだ。1人当たりの医療費も30万1900円と、はじめて30万円台を超えた。
医療費が右肩上がりなのは、「医療技術の高度化と高齢化」が進んでいるためだ。診療報酬が高い先端治療薬や検査が普及すれば、その分、医療費は跳ね上がる。また、お年寄りはいくつも病気を抱えているため、高齢者が増えれば医療費が増える。
国民医療費の内訳は、48.6%が保険料、38.4%が税金、患者負担は12.3%。
保険診療といいながら、実はその4割が税金でまかなわれているわけだ。そのため医療費の伸びは、国の財政赤字の大きな要因の一つになっている。
国民医療費の膨張は、2014年4月改定の診療報酬見直し論議に影響を与えるのは間違いない。「国の借金」は1000兆円を突破しており、財務省は「マイナス改定」に持ち込みたい考え。かたや日本医師会は「国民に安心の医療を提供するためにも診療報酬の引き上げは当然」という立場だ。
ちなみに2012年度の民間病院院長の平均年収は前年度比53万円増の3098万円、勤務医も同43万円増の1590万円。
ずいぶんともらってらっしゃる。前述したように国民医療費の4割弱が税金であることを考えれば、「医師の年収が増えている中で、公共料金である診療報酬が上がるのは国民の理解が得られない」(財務省幹部)との声に賛同したくなる。