ヨーロッパとアジアの境目とされるボスポラス海峡。トルコ最大の都市イスタンブールは、その両側にまたがっている広大な都市圏だ。橋や船もあるが、増え続ける交通量をまかないきれず、その海底にトンネルを通すことは急務だった。そもそも構想はオスマン帝国の時代から存在し、トルコにとって150年にも及ぶ「悲願」だったのである。
2013年10月29日、ついにトンネルは開業に至り、式典には安倍晋三首相も参加した。多くの困難を克服した本プロジェクトの名称が「マルマライ計画」。「マルマライ」は、海峡の南に位置するマルマラ海と、トルコ語で「鉄道」を意味する言葉から来ている。
トルコという歴史の地を工事することは、貴重な遺跡を「見つけてしまう」こととイコールであった。本来2009年までに終える予定だった計画が延びたのは、調査に要する時間が大きな原因。技術的にも、海峡における工事には潮流の問題が立ちはだかった。おそらく、さらに完成が遠ざかる可能性もあったろうが、開通にこぎつけたのは「納期を守るニッポン人たち」大成建設の参加が大きいという。親日国という言葉以上に、日本に対して情が深いトルコ。かの国のために、日本の技術が存分に活かされたことは、意義が大きいといえる。