「バリカン症」は、ノリ養殖の初期段階において「病害」と考えられていたもの。わずか一晩で1cmほどを残し、バリカンで刈り取るようにノリが失われる現象だ。三重県で命名された(三重県水産研究所HPの記述による)。養殖ノリの名産地・有明海でも深刻な被害となっており、福岡県水産海洋技術センターが調査したところ、その「犯人」が突き止められた。なんと、 夜の闇に紛れて付近の川から飛んできたカモ類のしわざであった。
カモ類の生息域から考えると、かなり沖まで出てくることになるため、関係者にとっては「意外な事実」となった。「バリカン『症』」という名称からも察することができるが、これまで水質、水温、潮流などによる異常と考えられ、過去の新聞報道を見ても「鳥のしわざ」という意見は見当たらない。自然はまだまだ人間には「読み切れない」側面があるということだ。「バリカン症」は有明海だけでなく全国で起きているので、なおいっそうの調査が待たれる。