政府が、高校の教育課程で日本史を「必修科目」とすることを検討している。
現在、高校では社会科が「地理歴史」と「公民」に分けられ、地理・歴史の中では、世界史だけが必修だ。日本史は中学で勉強するだけでいいということだったらしい。
そもそも高校で日本史を必修にしていないことが驚きだ。日本史を選択しても年度末には授業時間数が足りなくなり、近現代史については、駆け足で教えている例が多々見られる。
その結果、何が起きているか。「日本の近現代史について疎い若者が増え、日本とアメリカが太平洋戦争で戦ったことさえ知らない大学生もいる」(全国紙政治部記者)というのだ。
さもありなんという感じだ。
必修化の旗振り役、下村博文文科相は記者会見で「グローバル化が進む中で、日本の歴史や文化に対する教養を備えた人材の育成が必要だ」「日本人としてのアイデンティティー(帰属意識)を育てるためだ」と、その必要性を強調した。その通りだと思う。
ただ、中国、韓国などが日本政府の歴史認識を巡って批判を強める中で、日本史の必修化は、「中韓に対する、安倍政権の極めて政治的、タカ派的な対抗策ではないか」と見る向きもある。
文部科学省は、今年の夏にも中央教育審議会に日本史必修化を諮問する予定だ。早ければ、2020年度の全面実施を目指すという。