専用の駐輪場で借りた自転車を、使用後は別の駐輪場に返却できる「バイクシェア」、あるいは日本で「サイクルシェア」と呼ばれる仕組みが、世界中の大都市圏で注目されているという。2013年11月、JR中央線の武蔵境(むさしさかい)駅と東小金井(ひがしこがねい)駅、および東京農工大学科学博物館前に駐輪場を設けてスタートした「Suicle(スイクル)」もこの流れ。鉄道のICカード「Suica」などを用いることで使用できる。ICカードの利用は重要なポイントで、バイクシェアが広まったきっかけは、カードによって簡便に個人を特定しやすい時代になったからだ。そうでないと、お国柄によっては自転車へのイタズラが多発する。
「Suicle(スイクル)」の料金は、1か月乗り放題で2500円、一時利用で最初の30分100円・以降1時間ごとに100円などとかなり抑えられている。収支では厳しそうにも思えるが、世界のバイクシェアでも同様だ。しかし「地域の回遊性やまちづくりの活性化」(ジェイアール東日本企画の広報資料より)、環境への配慮など、多くのメリットには代えられない。とはいえ、まだ生まれたてのSuicleのシステムの現状では、「ポート(駐輪場)が3か所」と、いかにも少ない。極端な例だが、同じく2013年に始まったニューヨークのバイクシェアでは、駐輪場を300以上確保している。もしもSuicleが多くの駅に設けられていくなら、東京の交通事情も大いに改善されるに違いない。