第4代ロシア連邦大統領。61歳。子どものころから憧れていたスパイになるため、ソ連国家保安委員会(KGB)に就職したことがある。そうした経歴から、陰謀好きな“強権”政治家として知られる。

 プーチン大統領が今年3月、クリミア半島を強引に併合したため、欧米諸国が反発して経済制裁やG8からの除名を警告した。

 このことによって米ロ冷戦時代の再来か、第三次世界大戦の引き金になるのではないかとの不安が広がっている。プーチンの真意はどこにあるのか、週刊誌報道から読み解いてみよう。

 『ニューズウィーク日本版』(4/1号、以下『ニューズ』)はプーチンの今回の行動には2つの前提があると報じている。第1は「プーチンを突き動かしているのは『欧米は弱い』という確信よりも『ロシアは弱い』という自覚」。第2は「彼が大ロシア帝国の復活を夢見ていることだ」という。

 ソ連崩壊後、ロシアを侮辱した欧米諸国への恨みは深く、ロシア帝国復活の第一段階として、EUに接近するウクライナを牽制するためにもクリミア併合はロシアにとっての「核心的利益」で絶対に譲れなかった。

 したがって、今回の制裁措置でクリミアにいるロシア軍が撤退したり、クリミアを返還するという幻想を抱いてはいけないという。「クリミア半島の運命は変えられない」が、もしプーチンがさらにウクライナ領内に兵を進めるならば、欧米は世界全体の秩序を守るために、ロシアをすべての国際協議の場から外し、ロシアの銀行や有力企業の資産も凍結することまで考えるべきだとしている。

 しかし、そうした可能性は低いという。なぜなら今のロシアには国際的な影響力も経済力もないからだ。

 だが『週刊現代』(4/5号)でロシアにくわしい佐藤優(まさる)氏は「プーチンは戦争覚悟だ」と警鐘を鳴らしている。

 「アメリカに対する挑発的な言辞にはっきりと表れています。プーチンは『アメリカ人よ、あなたがたはアメリカ建国の時、民族自決権にもとづいて独立を宣言したのではないか』『同じことをクリミア人が言うと、文句をつけるのか』、さらには『東西ドイツの統一のときも、アメリカは民族統合を認めたではないか』と述べている。
 つまり、『クリミアで行った住民投票は、お前たちアメリカ人と同じ民主主義という価値観に拠って立つものだ。どこが悪いのか』というわけです。非常に挑発的であり、また一言で言えば、露骨に帝国主義的な発想です。
 現在の状況は、ちょうど100年前、第一次世界大戦直前の1914年によく似ている。ハンドリングを誤ると、戦争になりかねません」

 佐藤氏は、プーチンが「領土不拡張」という戦後の国際社会のルールを変えてしまったため、北方領土問題も仕切り直しするしかないという。

 「日本にとってこれからの課題は、ロシアと中国の接近をどうやって止めるかということになるでしょう。今回ロシアがクリミアで行ったような『力による現状変更』を、クリミアとは違い無人島である尖閣諸島で、中国が仕掛けてくる可能性もあるということです。
 中東・東欧の二正面作戦を強いられたアメリカが東アジアまで手が回らなくなり、中国が尖閣の実効支配へ動けば、日本も東シナ海の防衛を強化することになるでしょう。日本の先制を恐れた中国が、逆に先手を打つ形で尖閣に上陸するといったシナリオが考えられます。
 こればかりは、今のところいい解決策は見当たりません。やはり中国との対話を絶やさないということに尽きるでしょう」

 『ニューズ』によれば、武器の75%をロシアから輸入しているインドは、ロシアの今回の行動を受け入れる姿勢を見せているという。プーチンのロシアが中国、インドと手を組めば、冷戦時代以上の大「非米・反日圏」ができあがり、アメリカ頼みの日本はアジアの中で孤立することは間違いない。

 そうならないために日本は、周辺諸国との良好な関係を維持しなくてはいけないのに、安倍首相のやっていることは、それとは真逆であることが心配である。


元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週はいよいよ春爛漫、それにふさわしい女性たちの話題を3本選んでみた。ご覧あれ。

第1位 「共産党アイドル『吉良佳子』議員の革命的接吻 証拠写真付き」(『週刊新潮』4/3号)
第2位 「三浦友和 妻・山口百恵との『愛しい日常』」(『週刊文春』4/3号)
第3位 「テレビ各局 女の抗争 女子アナ派閥の『領袖』は誰だ」(『週刊ポスト』4/4・11号)

 第3位は女子アナの勢力争いが激化しているというお話。フジテレビはなんといっても“カトパン”こと加藤綾子率いる「カトパン会」が有名だ。高島彩、中野美奈子、山崎夕貴、三田友梨佳など錚々たるメンバー。TBSはマラソン好きな久保田智子が音頭をとっている「マラソン会」。日テレは女子アナを束ねてきた馬場典子が経費疑惑で失脚して無政府状態。テレビ東京は小谷真生子(まおこ)の次の『WBS』のキャスターに就任した大江麻理子が台頭してきているという。
 女の嫉妬は隣の火事より怖い!

 第2位はお生まれあそばして55周年になる山口百恵様の夫君・三浦友和様がお二人の結婚生活を初めて話された2時間のインタビュー。その中の「お言葉」を引用させていただく。
長い夫婦生活の中で百恵夫人に最も感謝していることはという問いに対して。

 「不平不満を言わずに一緒にずっといてくれることじゃないですか。仕事だって浮き沈みがあることだと全部わかっているし、良いとか悪いとかいちいち反応しない。良い時に浮かれない、悪い時に落ち込まないということをずっとできるのは、すごいと思うんです。とてもありがたいですよ」

 いやはやご馳走様です。百恵が家で待っていてくれたらオレも早く帰るのに。

 第1位は「ブラック企業を許さない」という公約を掲げて初当選した共産党の星・吉良佳子(きら・よしこ)参院議員(31)が、人目をはばからず男とキスをしまくっていると『新潮』が嫌味たっぷりに報じている記事。
 まずは3月21日、春分の日。午後10時30分、東京池袋駅の地下鉄ホームでのこと。

 「電車がホームへと滑り込んでくる。別れの時が近付いていた。2人の距離は、電車が速度を落とすのと反比例して急速に縮まっていく。70センチ、30センチ、10センチ。あたかも強力な磁石のように引き寄せられる2人。(中略)
 先ほどまで吉良議員が着けていたマスクは外されていた。そして次の瞬間、2人の距離は0センチとなり、公衆の面前で唇が重なり合ったのである。(グラビアページにこのときのシーンがばっちり“特写”されている=筆者注)
 清廉潔白を旨とする共産党の吉良議員が繰り広げた、めくるめく官能の世界。同党のジャンヌ・ダルクとして『ブラック企業』を舌鋒鋭く追及してきた彼女が、あろうことか妖しく『ピンク』に染まっていた。
 男性が電車に乗り込もうとしても、吉良議員は左手を最後まで彼の右手から離そうとしない。片時たりとも離れ難く、『永遠の0センチ』を求めているといった様子で……」

 どれもこれも春うららかな日差しの下で読むと、ほのぼのとしていいですね~。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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