今世紀に入り日本は「人口減少社会」に突入した。人口減少に歯止めがかからないと国が衰亡するのは必至だ。例えば、財政や社会保障制度が破綻する。労働力が減少することで経済活力が低下する──といった具合だ。そうした危機感を背景に、内閣府の有識者会議で「出生率に目標値を設けたらどうか」という議論が始まった。
1人の女性が生涯に産む子どもの数の平均値を「合計特殊出生率」という。日本の場合、2012年で1.41。このままだと2100年には人口が4000万人台にまで落ち込むという推計がある。いまの人口を維持するには「2.07」以上に伸ばす必要があるという。
目標を達成するためには、地域で女性が安心して子どもを産み、育てる環境を整える必要がある。具体的な処方箋として「保育所の整備」や「育児休暇の充実」「子育て世代に対する福祉の拡充」などがあるが、どれもが従来、提唱されてきた施策で、即効薬ではない。そのため、「自治体ごとに出生率をはじき出し、出生率が伸びた自治体には地方交付税を手厚くするなどの措置が必要」との指摘や「独身者に課税すべきだ」といった極論もある。
政府が出生率の目標を設定することに対し、戦中の「産めよ増やせよ」を想起し、懸念する声があるが、もはやそんなことを言ってはいられない状況だ。
1人の女性が生涯に産む子どもの数の平均値を「合計特殊出生率」という。日本の場合、2012年で1.41。このままだと2100年には人口が4000万人台にまで落ち込むという推計がある。いまの人口を維持するには「2.07」以上に伸ばす必要があるという。
目標を達成するためには、地域で女性が安心して子どもを産み、育てる環境を整える必要がある。具体的な処方箋として「保育所の整備」や「育児休暇の充実」「子育て世代に対する福祉の拡充」などがあるが、どれもが従来、提唱されてきた施策で、即効薬ではない。そのため、「自治体ごとに出生率をはじき出し、出生率が伸びた自治体には地方交付税を手厚くするなどの措置が必要」との指摘や「独身者に課税すべきだ」といった極論もある。
政府が出生率の目標を設定することに対し、戦中の「産めよ増やせよ」を想起し、懸念する声があるが、もはやそんなことを言ってはいられない状況だ。