南極海で行なう日本の調査捕鯨について、国際司法裁判所が3月、「国際捕鯨取締条約に違反している」として、中止を求める判決を下した。

 調査捕鯨は、国際捕鯨委員会(IWC)が1982年に「商業捕鯨の一時停止」を採択したことを受け、日本がいわば代替措置の形で行なっている。南極海では87年から実施してきた。目的はあくまで「科学的研究」。クジラをとらえてその生態系、生息頭数などを調べているのだ。ただ、捕ったクジラは食用として販売されている。

 国際社会では欧米諸国を中心に従来から捕鯨について厳しい論調がある。豪州政府は2010年5月、南極海での日本の捕鯨中止を求め、国際司法裁判所に提訴していた。

 今回の判決は「日本の捕鯨活動は国際的な義務に違反するもので、中止されるべきだ」とする豪州政府の主張を全面的に受け入れ、日本の敗訴となった。日本政府は判決を受けいれる方針。2014年度の南極海での「調査捕鯨」は目視だけにとどめるという。

 もっとも、日本政府は今秋を目途に新たな調査計画を策定し、捕獲調査の再開を目指す考えだ。

 日本は北大西洋でも調査捕鯨を行なっているが、捕獲数を減らすなどしてこちらは当面継続する。

 「クジラを食べる日本の食文化を理解してほしい」と日本政府は国際社会で訴えてきた。調査捕鯨の継続のためには、より丁寧な説明が必要なのは言うまでもない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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