元プロ野球投手。41歳。缶コーヒー「BOSSレインボーマウンテンブレンド」のテレビCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」に横浜DeNAベイスターズの現役用具係として出演して話題になっている。
亜細亜大学時代「東都大学リーグ」で活躍。本田技研から1996年のドラフト会議で読売巨人軍から1位指名されて入団。
2年目に7勝2敗、5年目に13勝4敗をあげオールスターにも出場するが、2002年に足を故障し、2003年に北海道日本ハムファイターズへ交換トレード。2006年には大リーグのニューヨーク・メッツとマイナー契約して移籍。翌年トロント・ブルージェイズに移るもメジャーデビューは果たせず無念の帰国。
2008年に横浜ベイスターズの入団テストを受けて1軍入りを果たすが結果を出せず、秋に戦力外通告を受けて引退。通算成績は35勝35敗、防御率3.77。
その後ベイスターズの打撃投手を務めていたが、翌年から用具係に配置転換され現在に至っている。
まさにCMの中でトミー・リー・ジョーンズがいう台詞「この惑星の住人の人生は一直線とは限らない」を地で行く波乱に満ちた半生である。
『週刊新潮』(6/26号)「『この惑星には裏方の喜びもある』元巨人『入来祐作』用具係の日々」によると、CMの話があったのは今春だそうだ。こんな経験は2度とできないだろうと引き受けたという。入来が今の仕事をこう語っている。
「僕が管理しているのは、監督やコーチのノックバット、ヘルメット、選手が練習で使うボールなど諸々の備品です。1日におよそ900個から1000個のボールを扱い、使える物と使えない物を選別していくのも僕の仕事です。球団の予算の範囲内でそれらの管理をします。例えば、選手のユニホームが破れた時、補修するのか新調するのかを判断するのは僕です」
選手が球場入りする前に入り、全員帰った後に球場を出るから拘束時間は12時間ぐらいになる。だがそれを苦に思ったことはないという。
球場にいて選手を間近で見られる子どもみたいな気持ちだ。現役時代の自分は今の彼の中にはないそうだ。現役時代の最高年俸は02年の9000万円。
「給料の額面を見て、野球選手じゃなくなるというのはこういうことなんだと自分で評価しています。男は、働けないことが一番辛いと思います」
入来が入団した年、同じ1位指名された選手で今も現役でいるのは楽天イーグルスの小山伸一郎(投手)とロッテの井口資仁(ただひと)(野手)だけである。中には一度も一軍に上がれず引退した選手もいる。
入来にも巨人軍のエースと評価され輝いた一瞬はあったが、ケガに泣かされ実力を存分に発揮できずに現役を退かざるをえなくなった。
沢木耕太郎の初期の作品に『敗れざる者たち』(文春文庫)がある。ボクシングの輪島功一やプロ野球選手の榎本喜八、東京オリンピック・マラソンで銅メダルに輝いたが、その後自死した円谷幸吉など、栄光を手にしたスポーツ選手たちのその後の人生を描いたノンフィクションである。
スポーツ選手が活躍できる時期は短く、監督やコーチ、解説者になれる人間はほんの一握りである。その後のうんざりするほど長い人生をどう生きていくかに悩まない元選手はいない。入来のように野球と離れたくない、裏方でもいいから野球と関わっていたいと思えるのは幸せな人生なのかもしれない。彼の「野球バカ人生」に乾杯!
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
やっぱり格上コロンビアに惨敗した日本代表だが、試合前は各週刊誌も色とりどり。コロンビアを破って一次リーグ突破できると“根拠”のない応援をするもの、早くも戦犯捜しをするもの、と趣向を凝らしてはいる。結果がわかって読むとまた一興かもしれない。
第1位 「本田も、香川も、長友も、こんなものだったのか」(『週刊現代』7/5号)
第2位 「サムライたちの正念場」(『週刊朝日』7/4号)
第3位 「38歳ロートルCB(センターバック)を切り裂く『本田の覚醒』と『南米キラー』」(『週刊ポスト』7/4号)
第3位。丸外れは『ポスト』。ギリシャに学んで「勝機」ありなどと世迷い言を並べ、「サイド大久保、トップ本田」のフォーメーションにしろだの、キーマンは「岡崎、内田、長友」だと指示を飛ばすが、結局同じページで「日本サッカーはなぜ南米に弱いのか」と書いているように、日本代表の対南米チームの通算成績は10勝22敗15分なのだから、勝てるわけはなかったのだ。
第2位。『朝日』は早くもザックの次の監督候補を挙げている。『Jリーグサッカーキング』青山知雄編集長とサッカージャーナリストの北條聡氏がこういっている。
「今大会で前回王者スペインに圧勝した、チリのホルヘ・サンパオリ監督です」
私はサッカー界の貴公子・ベッカムを連れてくればいいのではないかと思う。100億円使っても元は取れる。日本のサッカーが強くなるかどうかは保証の限りではないが、世界的に有名になることは間違いない。
さて今週の1位は『現代』。「いいからシュートを打て!」「精神面が弱すぎた」「覚悟のない指揮官」「本気で『優勝』と思ってたのか」と言いたい放題。
まあ、あれだけ惨敗すれば致し方ないか。『朝日』の表紙は本田圭佑だが、この表情がなかなか憂いがあっていい。試合中は目ばかり目立つ本田だが、この写真は一見の価値あり。ちなみに私が使っているオードトワレは本田圭佑仕様である。関係ないか。
亜細亜大学時代「東都大学リーグ」で活躍。本田技研から1996年のドラフト会議で読売巨人軍から1位指名されて入団。
2年目に7勝2敗、5年目に13勝4敗をあげオールスターにも出場するが、2002年に足を故障し、2003年に北海道日本ハムファイターズへ交換トレード。2006年には大リーグのニューヨーク・メッツとマイナー契約して移籍。翌年トロント・ブルージェイズに移るもメジャーデビューは果たせず無念の帰国。
2008年に横浜ベイスターズの入団テストを受けて1軍入りを果たすが結果を出せず、秋に戦力外通告を受けて引退。通算成績は35勝35敗、防御率3.77。
その後ベイスターズの打撃投手を務めていたが、翌年から用具係に配置転換され現在に至っている。
まさにCMの中でトミー・リー・ジョーンズがいう台詞「この惑星の住人の人生は一直線とは限らない」を地で行く波乱に満ちた半生である。
『週刊新潮』(6/26号)「『この惑星には裏方の喜びもある』元巨人『入来祐作』用具係の日々」によると、CMの話があったのは今春だそうだ。こんな経験は2度とできないだろうと引き受けたという。入来が今の仕事をこう語っている。
「僕が管理しているのは、監督やコーチのノックバット、ヘルメット、選手が練習で使うボールなど諸々の備品です。1日におよそ900個から1000個のボールを扱い、使える物と使えない物を選別していくのも僕の仕事です。球団の予算の範囲内でそれらの管理をします。例えば、選手のユニホームが破れた時、補修するのか新調するのかを判断するのは僕です」
選手が球場入りする前に入り、全員帰った後に球場を出るから拘束時間は12時間ぐらいになる。だがそれを苦に思ったことはないという。
球場にいて選手を間近で見られる子どもみたいな気持ちだ。現役時代の自分は今の彼の中にはないそうだ。現役時代の最高年俸は02年の9000万円。
「給料の額面を見て、野球選手じゃなくなるというのはこういうことなんだと自分で評価しています。男は、働けないことが一番辛いと思います」
入来が入団した年、同じ1位指名された選手で今も現役でいるのは楽天イーグルスの小山伸一郎(投手)とロッテの井口資仁(ただひと)(野手)だけである。中には一度も一軍に上がれず引退した選手もいる。
入来にも巨人軍のエースと評価され輝いた一瞬はあったが、ケガに泣かされ実力を存分に発揮できずに現役を退かざるをえなくなった。
沢木耕太郎の初期の作品に『敗れざる者たち』(文春文庫)がある。ボクシングの輪島功一やプロ野球選手の榎本喜八、東京オリンピック・マラソンで銅メダルに輝いたが、その後自死した円谷幸吉など、栄光を手にしたスポーツ選手たちのその後の人生を描いたノンフィクションである。
スポーツ選手が活躍できる時期は短く、監督やコーチ、解説者になれる人間はほんの一握りである。その後のうんざりするほど長い人生をどう生きていくかに悩まない元選手はいない。入来のように野球と離れたくない、裏方でもいいから野球と関わっていたいと思えるのは幸せな人生なのかもしれない。彼の「野球バカ人生」に乾杯!
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やっぱり格上コロンビアに惨敗した日本代表だが、試合前は各週刊誌も色とりどり。コロンビアを破って一次リーグ突破できると“根拠”のない応援をするもの、早くも戦犯捜しをするもの、と趣向を凝らしてはいる。結果がわかって読むとまた一興かもしれない。
第1位 「本田も、香川も、長友も、こんなものだったのか」(『週刊現代』7/5号)
第2位 「サムライたちの正念場」(『週刊朝日』7/4号)
第3位 「38歳ロートルCB(センターバック)を切り裂く『本田の覚醒』と『南米キラー』」(『週刊ポスト』7/4号)
第3位。丸外れは『ポスト』。ギリシャに学んで「勝機」ありなどと世迷い言を並べ、「サイド大久保、トップ本田」のフォーメーションにしろだの、キーマンは「岡崎、内田、長友」だと指示を飛ばすが、結局同じページで「日本サッカーはなぜ南米に弱いのか」と書いているように、日本代表の対南米チームの通算成績は10勝22敗15分なのだから、勝てるわけはなかったのだ。
第2位。『朝日』は早くもザックの次の監督候補を挙げている。『Jリーグサッカーキング』青山知雄編集長とサッカージャーナリストの北條聡氏がこういっている。
「今大会で前回王者スペインに圧勝した、チリのホルヘ・サンパオリ監督です」
私はサッカー界の貴公子・ベッカムを連れてくればいいのではないかと思う。100億円使っても元は取れる。日本のサッカーが強くなるかどうかは保証の限りではないが、世界的に有名になることは間違いない。
さて今週の1位は『現代』。「いいからシュートを打て!」「精神面が弱すぎた」「覚悟のない指揮官」「本気で『優勝』と思ってたのか」と言いたい放題。
まあ、あれだけ惨敗すれば致し方ないか。『朝日』の表紙は本田圭佑だが、この表情がなかなか憂いがあっていい。試合中は目ばかり目立つ本田だが、この写真は一見の価値あり。ちなみに私が使っているオードトワレは本田圭佑仕様である。関係ないか。