いま中古市場では、古い携帯電話がスマートフォンよりも高額で取引される場合がある。ご多分に漏れず、限定モデルやコラボモデルに人気が集中。「中古」だが、あくまでケータイなので、ここ5年以内の機種が多い。すでに機能性において上りつめたあとの「ガラケー」で、使い勝手もよく、今のものと変わらない。スマホも持ってはいるが、二台目の電話として、実用的な側面から購入しているというユーザーが多い。

 思えば、スマホに席巻されたものの、日本のガラケーに「問題」があるわけでは決してなかった。「ガラパゴス」と揶揄されるにはあまりに充実している文明の利器。カラーやデザインにおけるチョイスの自由さもある。それになんといっても、すぐにバッテリーが切れることがない! どうも最近、ある程度までケータイが「復権」しそうな雰囲気さえあるのだ。ちなみに機能性の話だけでなく、超高齢社会を迎え、使い方がシンプルなケータイが見直されていることも付け加えておこう。

 もちろん、まさに「ヴィンテージ」といえるほど型の古いケータイにもニーズが存在しているようだ。クルマなどと同じで、道具としてのマシンの「渋み」というものがあろう(このあたりからはマニアックな世界に入るが)。最近よく業界の話題にのぼるのは、「Vintage Mobile(ヴィンテージ・モバイル)」というフランスのサイト。古いノキアに日本円で10万円以上の値が付いている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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