野々村竜太郎・兵庫県議(7月11日辞職)の不明朗な政治活動費が問題となり、にわかに注目を浴びているのが「政務活動費」である。新聞報道によると、野々村氏は年間195回も日帰り出張し、費用約300万円を政務活動費からあてていた。ところが、その訪問内容や目的が明らかでなく、実際に出張していたかどうか、疑いがもたれている。切手代として多額の費用も政務活動費として受け取っていた。

 政務活動費は、議員報酬とは別に公費から交付されており、東京都議会の場合、議員1人あたり月額60万円。かつては政務調査費と呼ばれ、調査研究費としてあてがわれてきたが、2012年の法改正で、名称を政務活動費と変え、陳情など議員活動にも支出が認められるようになった。

 政務活動費をめぐっては、旧政務調査費の頃から各地の地方議会で不明朗な受給が発覚するケースが後を絶たない。たとえばポルノ雑誌の購入やテーマパークの「視察」に使われたこともある。

 議会事務局がチェックするのだが、これがユルユルであるとの批判が少なくない。

 議会事務局の職員は、そのほとんどは首長部局からの出向組だ。事務局が不正受給に甘いのは、背景に「出向から戻ったら、チェックした議員に、議会の質疑などでネチネチ仕返しされるのを恐れている」(地方議員経験者)ことがあるという。

 地方議会は襟を正して不正受給を絶つ規定を作るべきだ。第三者による監査機関を設けたり、収支報告書、領収書のネット公開などを検討すべきではないか。

 メディアも自治体議員の政務活動費について調査報道を行なったらどうか。兵庫県議会では、野々村氏以外にも不自然な切手購入などを指摘された議員がいるが、きちんと調べ、納税者に知らせるべきではないか。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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