政府は7月25日、「まち・ひと・しごと創生本部」(本部長・安倍晋三首相)の準備室を設置した。同本部は政府が「地方創生本部」として検討を進めていた地域活性化の司令塔機関で、9月にも正式発足する。新たに置かれる「地方創生担当大臣」をはじめ全閣僚が参画する。

 同本部について安倍首相は「地方において、緊急かつ深刻な人口急減、超高齢化に対し、政府一丸となって本腰を入れて取り組む」と発言している。かなりの入れ込みようである。

 背景にあるのは「安倍首相が推進するアベノミクスの効果が地方に浸透していない」という事情がある。来春に地方統一選も控え、地方経済の底上げや地域活性化が、政権にとって重要課題となっている。

 地方は「人口減少」に直面しており、若者の雇用を、地方に生み出す施策が何よりも必要だ。同本部が手がける具体策として、企業の農業進出、就農や起業の促進など、これまでの地方活性化の枠を超えた施策の展開が大事だ。住宅サポート、就職情報の発信で、都市居住の若者の移住を促すのもいい。

 ただ、ここに来て自民党内に気になる動きがある。来春の統一地方選をにらみ、公共工事の増額などを中心とした旧来型の経済対策を求める声が出ているのだ。要はカネのばらまきだ。

 求められるのは、人口減少に歯止めをかける抜本的な、それこそ地方の地域社会を変えるような施策だ。カネのばらまきでは人口減少は止められない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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