最近の外食業界では、居酒屋などが不振にあえぐ一方で、ファミリーレストランの好調がよく語られる。このことは、ファミレスでお酒を楽しむ「ファミ飲み」の流行が影響しているといえそうだ。本来「安い」はずの居酒屋よりも、さらにリーズナブル。仲間と飲むことで、家飲みにはない楽しさも生まれる。また、「飲む人と飲まない人が一緒にいられる」雰囲気もポイントが高いだろう。いまどきは「飲み会で飲まない」タイプは珍しいものではないが、それでも酒場よりは自由な気楽さがあるはずだ。

 「ファミ飲み」の普及にともない、それぞれの店の個性もよく紹介されるようになってきた。100円台のワインが魅力の『サイゼリヤ』、業界でも酒の選択肢が幅広いことで知られる『ジョナサン』、おつまみの強化を図っている『ガスト』などなど。また、ファミ飲みならではのテクニックもある。ドリンクバーがある店で、自分で酒を「割って」楽しむ裏技は、もはや有名である。お金がなければないなりに、酒場に代わるものを「発見」する庶民。それをビジネスチャンスにするファミレス。日本人は案外にたくましい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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