日中の住宅地や散歩の途中で、地面から突き上げてくるような低くとても長い「オォーォーー」というような声が聞こえてくることがある。「おーさん」だ。禅宗の一派、臨済宗の寺で修行する雲水(うんすい)さんのことである。おーさんは、大抵黒っぽい着物姿で、竹でつくった網代笠をかぶり、手の甲を覆う手甲(てっこう)と脚のすねに脚絆(きゃはん)をつけ、草鞋(わらじ)を履いて歩いている。喜捨を受けるために首から提げた頭陀袋には、所属する僧堂の名称が染められている。
雲水さんとは、禅寺の修行僧をさす名称である。行方を定めず、行き流れる雲や水のように、知識を求めて諸国を旅する修行方法から、そのように呼ばれるようになった。最近は食糧や金銭の寄付を求めて歩く托鉢行が、雲水さんの修行となっている。冬の間は、農家を訪ねて朝粥の漬け物にする大根の喜捨を求めることが続けられてきたので、この時期の托鉢を大根鉢(だいこんはつ)と呼んでいる。
京都では室町時代に臨済宗が保護され、足利義満のときに、禅寺ではもっとも格式の高い五山が定められた。この京都五山とは、東山の南禅寺を別格とし、天竜寺(右京区)、相国寺(しょうこくじ、上京区)、建仁寺(東山区)、東福寺(東山区)、万寿寺(東山区、現在は東福寺山内)のことで、それぞれが臨済宗各派の大本山である(万寿寺は東福寺派)。ほぼ市中を囲むように各寺院があるので、おーさんが至るところにおられるというわけである。おーさんが歩くときに発する声は、つい聞き入ってしまうほどで、安心感のある澄んだ太い声の出し方をする。実は「おー」ではなく、「法(ほう)」と言っているそうで、「ほーさん」と呼んでいる人も多い。
雲水さんとは、禅寺の修行僧をさす名称である。行方を定めず、行き流れる雲や水のように、知識を求めて諸国を旅する修行方法から、そのように呼ばれるようになった。最近は食糧や金銭の寄付を求めて歩く托鉢行が、雲水さんの修行となっている。冬の間は、農家を訪ねて朝粥の漬け物にする大根の喜捨を求めることが続けられてきたので、この時期の托鉢を大根鉢(だいこんはつ)と呼んでいる。
京都では室町時代に臨済宗が保護され、足利義満のときに、禅寺ではもっとも格式の高い五山が定められた。この京都五山とは、東山の南禅寺を別格とし、天竜寺(右京区)、相国寺(しょうこくじ、上京区)、建仁寺(東山区)、東福寺(東山区)、万寿寺(東山区、現在は東福寺山内)のことで、それぞれが臨済宗各派の大本山である(万寿寺は東福寺派)。ほぼ市中を囲むように各寺院があるので、おーさんが至るところにおられるというわけである。おーさんが歩くときに発する声は、つい聞き入ってしまうほどで、安心感のある澄んだ太い声の出し方をする。実は「おー」ではなく、「法(ほう)」と言っているそうで、「ほーさん」と呼んでいる人も多い。