煙で燻(いぶ)すことで食品の保存性を高め、独特の風味を加える燻製。起源は古く、人類が火を使い始めた石器時代に生まれたと考えられている。

 煙で燻すと食品の水分量が減少し、煙のなかに含まれているアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの殺菌成分が食品に浸透。また、燻煙に含まれるカルボニル化合物がアミノ酸と反応して食品を飴色に変え、特有の風味と香をつける。

 ベーコンやソーセージのほか、日本の伝統的な食材である鰹節、秋田のいぶりがっこなども燻製で作られたものだ。

 ただし、冷蔵や冷凍などの技術が発達した現代では、保存性よりも、独特の風味や食感を楽しむものに変わってきている。とくに、最近、注目が集まってきているのは、醤油や塩、みりん、オリーブオイルなどをスモークした「燻製調味料」だ。

 いつもの調味料を、燻製調味料に変えるだけで、食材の臭みをとったり、旨みをひきだしたりして、風味豊かな料理に変わるという。

 燻製調味料は、市販もされているが、自宅でも簡単に作ることができる。

 中華鍋などにアルミホイルを敷いてサクラやクルミ、ナラなどの木の燻製用チップを置き、焼き網をのせる。醤油や塩など燻製したい調味料をステンレス製のトレイなどに入れて、その網の上に置き、蓋をして15分程度加熱する。最初は強火で、チップから煙が出始めたら弱火にして、じっくり香を移すようにする。火を止めて、蓋をしたまま5~6分待てば、燻製調味料の出来上がりだ。

 燻製醤油を使うと、一味違う刺身や焼き魚などが楽しめたり、燻製塩や燻製胡椒を振りかけるだけで肉料理にスモーク風味をつけることができる。

 「最近、メニューがマンネリ化している」とお悩みのあなた。燻製調味料を試してみてはいかがだろうか。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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