「こんにちは、憲法です。姓は日本国、名は憲法。日本国憲法です」
コメディアンの松元ヒロ(62)が、日本国憲法を擬人化して演じるコント「憲法くん」は、こんなふうに始まる。
憲法をわかりやすく伝えるために、弁護士と一緒に考えたもので、18年間続くロングコントとなっている。
松元ヒロは、政治家のパロディや時事ネタを得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」の立ち上げに参加。1999年にソロ活動を始め、現在は風刺の効いたコントで全国あちこちを飛び回っている。その活動の根底にあるのは、平和への願いだ。
憲法くんは、時の総理大臣の物真似、年金や貧困など時事ネタで観客を大いに笑わせたあとで、毎回、公演の終盤に演じられる。
「最近、私をリストラするって聞いたんですけど、本当ですか?」
ここ数年、憲法改正が声高に叫ばれ、憲法くんには逆風が吹き荒れている。だが、彼はこう言うのだ。
「ひとつ自慢させてください。(憲法くんは)戦争の名のもとで、日本国民が他国の人を殺したり、殺されたりするようなことは一回もさせませんでした」
そして、観客に問いかける。
「(憲法くんは)みんなの理想だったじゃないですか。それが現実に合わないからって、簡単に引き下げちゃっていいんですか? 理想に向かって努力していくべきじゃないんですか?」と。
それは、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、平和憲法を改正しようとする時の政権、安倍晋三内閣への痛烈な批判でもある。
日本国憲法は、イギリスのマグナ・カルタ、アメリカ独立宣言、フランス革命と人権宣言など、世界中の英知を集めたものだ。先の戦争を深く反省し、先人たちが68年前に掲げたその理想を、今の世に生きる私たちが簡単に下ろしていいものなのか。
憲法くんは、公演の最後に、彼自身(日本国憲法)の理想の高さ、崇高さを表す「前文」を暗唱し、こう宣言する。
《日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。……中略……国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ》
5月3日は、68回目の憲法くんの誕生日だ。
憲法くんがいつまでも元気で、長生きできるように。前文に込められた崇高な理念の実現に向けた努力を、諦めずに続けたい。
日本国憲法
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
コメディアンの松元ヒロ(62)が、日本国憲法を擬人化して演じるコント「憲法くん」は、こんなふうに始まる。
憲法をわかりやすく伝えるために、弁護士と一緒に考えたもので、18年間続くロングコントとなっている。
松元ヒロは、政治家のパロディや時事ネタを得意とするコント集団「ザ・ニュースペーパー」の立ち上げに参加。1999年にソロ活動を始め、現在は風刺の効いたコントで全国あちこちを飛び回っている。その活動の根底にあるのは、平和への願いだ。
憲法くんは、時の総理大臣の物真似、年金や貧困など時事ネタで観客を大いに笑わせたあとで、毎回、公演の終盤に演じられる。
「最近、私をリストラするって聞いたんですけど、本当ですか?」
ここ数年、憲法改正が声高に叫ばれ、憲法くんには逆風が吹き荒れている。だが、彼はこう言うのだ。
「ひとつ自慢させてください。(憲法くんは)戦争の名のもとで、日本国民が他国の人を殺したり、殺されたりするようなことは一回もさせませんでした」
そして、観客に問いかける。
「(憲法くんは)みんなの理想だったじゃないですか。それが現実に合わないからって、簡単に引き下げちゃっていいんですか? 理想に向かって努力していくべきじゃないんですか?」と。
それは、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、平和憲法を改正しようとする時の政権、安倍晋三内閣への痛烈な批判でもある。
日本国憲法は、イギリスのマグナ・カルタ、アメリカ独立宣言、フランス革命と人権宣言など、世界中の英知を集めたものだ。先の戦争を深く反省し、先人たちが68年前に掲げたその理想を、今の世に生きる私たちが簡単に下ろしていいものなのか。
憲法くんは、公演の最後に、彼自身(日本国憲法)の理想の高さ、崇高さを表す「前文」を暗唱し、こう宣言する。
《日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。……中略……国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ》
5月3日は、68回目の憲法くんの誕生日だ。
憲法くんがいつまでも元気で、長生きできるように。前文に込められた崇高な理念の実現に向けた努力を、諦めずに続けたい。
日本国憲法
前文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。