最近のお笑いの世界では、「リズムネタ」が語られることが多くなった。言うまでもなく、8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」がブレイクを果たしたためである。狩猟民族が「ダンソン フィーザキー…」と言って踊る、バンビーノのネタもこのジャンルに加わるであろう。楽器片手にネタを披露する「歌ネタ」は、お笑いが「演芸」と呼ばれた時代から、そう珍しい存在ではない。それが歌ネタではなく特に「リズムネタ」と呼ばれるのは、歌詞の内容自体に笑いの要素があるというよりも、耳に残る独特のリズムが「音」としてウケているからだ。ナンセンスの可笑しさなのである。
8.6秒バズーカーの「先輩」として語られることが多いのは、藤崎マーケットやオリエンタルラジオ(以下、オリラジ)である。藤崎マーケットはかつて「ラララライ体操」でブレイクしたが、その後まじめに漫才に取り組み、業界で高い評価を得た。にもかかわらず、彼らの漫才は世間にあまり浸透していない。だから、かつてのリズムネタの栄光をひどく嫌っている。一方のオリラジは、「武勇伝」で驚異的な売れ方をしたのちに急降下するも、バラエティ番組に欠かせないバイプレーヤーとして復活した。いまは過去に天狗になった自身をもネタにする余裕があり、再び「武勇伝」に取り組んでいる。ここで強調しておきたいのは、テンポの良さからリズムネタとして扱われる「武勇伝」は、内容自体もテキストとして笑いをとれる、決してリズムだけでないネタという点だ。その意味で、「武勇伝」と「ラッスンゴレライ」は本来、立ち位置が異なる。
リズムネタ芸人は、ブレイクすると「それだけ」を求められる。いろんな番組で同じネタを繰り返す結果、すぐに飽きられる危険性と戦っているのだ。いまどきは動画サイトというものがあり、さらに消費されやすい。だが、本人たちも「一発屋」になるのは本意ではないはず。リズムネタは、やがては脱皮すべき存在なのか、それとも「これでやっていく」と言い切れる芸風の一つなのか。人気者たちにとって悩ましい選択となるだろう。
8.6秒バズーカーの「先輩」として語られることが多いのは、藤崎マーケットやオリエンタルラジオ(以下、オリラジ)である。藤崎マーケットはかつて「ラララライ体操」でブレイクしたが、その後まじめに漫才に取り組み、業界で高い評価を得た。にもかかわらず、彼らの漫才は世間にあまり浸透していない。だから、かつてのリズムネタの栄光をひどく嫌っている。一方のオリラジは、「武勇伝」で驚異的な売れ方をしたのちに急降下するも、バラエティ番組に欠かせないバイプレーヤーとして復活した。いまは過去に天狗になった自身をもネタにする余裕があり、再び「武勇伝」に取り組んでいる。ここで強調しておきたいのは、テンポの良さからリズムネタとして扱われる「武勇伝」は、内容自体もテキストとして笑いをとれる、決してリズムだけでないネタという点だ。その意味で、「武勇伝」と「ラッスンゴレライ」は本来、立ち位置が異なる。
リズムネタ芸人は、ブレイクすると「それだけ」を求められる。いろんな番組で同じネタを繰り返す結果、すぐに飽きられる危険性と戦っているのだ。いまどきは動画サイトというものがあり、さらに消費されやすい。だが、本人たちも「一発屋」になるのは本意ではないはず。リズムネタは、やがては脱皮すべき存在なのか、それとも「これでやっていく」と言い切れる芸風の一つなのか。人気者たちにとって悩ましい選択となるだろう。