日本経済新聞社は2015年7月23日、英国の教育・出版企業ピアソンから、経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するフィナンシャル・タイムズ・グループを買収すると発表した。買収金額は約1600億円。メディア企業の買収額としては破格だった。FTは1888年の創刊。経済紙ではその影響力で米ウォール・ストリート・ジャーナル紙と双璧をなす。有料読者数は73万7000人で、そのうち電子版が約7割を占める。
一方の日経は1876年の創刊。発行部数約273万部(朝刊、2015年6月末現在)で、電子版の有料読者数は43万人。
買収発表の記者会見で日経の岡田直敏社長は「欧米に強いFTとアジアに強い日経が一緒になり、コンテンツの質も量も飛躍的に高めることができる」「記事データベースの販路を欧米に拡大するなど、相乗効果も期待したい」などと強調した。
日経は今回の買収で「新聞紙から電子版へ」「日本国内からグローバルへ」と企業運営の軸足を大きくシフトすると見られる。背景には、人口減少により日本国内の市場が縮小するとともに、ネット社会が本格化して読者の「紙離れ」が進んでいることがある。実際、かつて300万部を超していた日経新聞の部数は前述のように273万部で低迷している。
問題は、1600億円というその買収金額だ。「高値づかみだったのでは」との指摘があるからだ。
FTの営業利益は年46億円で買収額の35分の1に過ぎない。日経幹部は、発表会見で「自己資金と外部からの借り入れを検討している」と資金調達の見通しを示した。日経の売上高(2014年12月期、連結)は3006億円、営業利益は約167億円。手元には約1031億円の「現金及び預金」があるとはいえ、借り入れに伴う金融機関への毎年の返済額は相当な額になりそうで、経営の足かせになりかねない。買収で投資金額を回収できるほどのシナジー効果があるのかどうかも不透明だ。
一方の日経は1876年の創刊。発行部数約273万部(朝刊、2015年6月末現在)で、電子版の有料読者数は43万人。
買収発表の記者会見で日経の岡田直敏社長は「欧米に強いFTとアジアに強い日経が一緒になり、コンテンツの質も量も飛躍的に高めることができる」「記事データベースの販路を欧米に拡大するなど、相乗効果も期待したい」などと強調した。
日経は今回の買収で「新聞紙から電子版へ」「日本国内からグローバルへ」と企業運営の軸足を大きくシフトすると見られる。背景には、人口減少により日本国内の市場が縮小するとともに、ネット社会が本格化して読者の「紙離れ」が進んでいることがある。実際、かつて300万部を超していた日経新聞の部数は前述のように273万部で低迷している。
問題は、1600億円というその買収金額だ。「高値づかみだったのでは」との指摘があるからだ。
FTの営業利益は年46億円で買収額の35分の1に過ぎない。日経幹部は、発表会見で「自己資金と外部からの借り入れを検討している」と資金調達の見通しを示した。日経の売上高(2014年12月期、連結)は3006億円、営業利益は約167億円。手元には約1031億円の「現金及び預金」があるとはいえ、借り入れに伴う金融機関への毎年の返済額は相当な額になりそうで、経営の足かせになりかねない。買収で投資金額を回収できるほどのシナジー効果があるのかどうかも不透明だ。