毎週金曜日の夜に国会議事堂前で「SEALDs(シールズ)」という大学生を中心とした若者たちの団体がデモを繰り広げている。
SEALDsは、Students Emergency Action for Liberal Democracy-sの略。「自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション」と称し、東京を拠点とする10代、20代の若者が、国会で審議中の安全保障関連法案に反対の声を上げている。
日本国憲法では、第10章を「最高法規」にあて、次のように定めている。
第98条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
(2 略)
第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
憲法は、この国を形作る最高法規で、これに違反する形での法律は本来なら許されない。そして、国会議員や公務員などには憲法を守る義務があり、憲法は権力者の暴走を縛るためのものでもある。
ところが、安全保障関連法案は、これまで認めてこなかった集団的自衛権の行使を、憲法の解釈変更によって可能にしようとするものだ。憲法学者の大多数が違憲としており、永久の戦争放棄を定めた9条に違反することは明白だ。たとえ成立しても、98条違反で無効となるのが法の道理だろう。
また、そうした憲法違反の法律を、数の論理によって強行採決しようとしている自民・公明両党の国会議員は、公務員の憲法遵守を決めた99条違反を犯していることになる。
現在、国会内で起こっていることは、現政権によるクーデターであり、非暴力とはいえ、立憲主義国家としては絶対に許してはならないことだ。
SEALDsの前身は、2013年12月に成立した特定秘密保護法に反対するために集まった大学生の集団「SASPL(サスプル:Students Against Secret Protection Law/特定秘密保護法に反対する学生有志の会)」。
そのSASPL時代の経験を生かし、今回、危機に瀕している日本国憲法を守り、安保法制に反対の声を上げるために、「SEALDs」と名前を改めて、今年5月3日憲法記念日に発足し、活動を始めたのだ。
安保法制の問題点をわかりやすくまとめた動画やパンフレットを作成したり、イベントなども行なっているが、注目度が高いのが街頭で行なわれるデモだ。毎週金曜日の夜に国会前で行なわれている抗議行動では、シュプレヒコールの間に必ずスピーチが挟み込まれる。
SEALDsのデモというと、節をつけながら、「憲法守れ」「戦争反対」「立憲主義ってなんだ?」「民主主義ってなんだ?」「なんか自民党感じ悪いよね」などとラップ調で叫ぶコールが若者らしいと話題になることが多い。
だが、彼らのデモの肝になっているのは、学生自身の言葉で語られるスピーチのほうだ。
「なぜ、安保法制がおかしいと思うのか」「なぜ、安保法制に反対するのか」。その自分の意志を、自分の生活にリンクさせながら、自分の言葉で語る若者たち。その言葉に嘘や打算はなく、純粋に「安保法制を止めたい」という気持ちが伝わってくる。
彼らにはその言葉を裏付けるだけの知識があり、行動がある。そして、彼らの言葉の主語は、いつも「私は」だ。誰かが使った言葉ではなく、誰かのせいにするわけでもなく、「私が、この法案を止める」という意志のもとに行動をしている。だからこそ、多くの人の胸を打ち、安保法制に反対するすべての世代の共感を呼んでいるのではないだろうか。
そんな彼らの行動は、学者や国会議員、知識人たちを巻き込み、今、大きなうねりとなっている。
6月初旬、数百人で始まったSEALDsの国会前の抗議行動は、その後、安保法制が衆議院の特別委員会で採決された7月15日には6万人(主催者発表)に膨れ上がった。
東京で始まったSEALDsは地方都市に広がり、現在は関西、東北、琉球(沖縄)でも立ち上がっている。あえてSEALDsとは名乗らないまでも、現政権に「ノー」の声を上げる10代、20代の若者の姿も全国各地で見られるようになっている。
そして、8月23日には、北は北海道から南は沖縄まで、全国64か所で安保法制に反対する若者のデモが行なわれたのだ。
こうした若者による安保法制反対の声は世界にも広がり、パリやベルリン、カリフォルニアなどでもSEALDsの立ち上げが計画されているという。
日本国憲法の第3章には、国民の権利及び義務について定めた次の条文がある。
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
民主主義は与えられるものではない。
自由と民主主義を守り続けるには、市民一人ひとりが主権者として責任を持ち、声をあげ、意志を表明し続けなければならない。民主主義は、自らの手で守り続けなければ、為政者の手で簡単に壊せてしまうガラス細工のようなものだ。
この国の大人たちが忘れていた憲法12条の理念を、今、若い彼らによって教えられているように思う。
SEALDsのデモでは、コーラーの「民主主義ってなんだ?」という問いかけに、参加者は「これだ!」と答える。
「民主主義って、なんだ?」
「民主主義は、これだ!」
おかしいことには、「おかしい」と。いやなものには、「いやだ」と。声を上げ続けることが、民主主義を守る唯一にして、最良の手段だということをSEALDsのデモは訴えかける。
6月から毎週金曜日の夜に行なわれてきたSEALDsのデモは、参議院での安保法制の審議が終わる9月中旬まで行なわれる予定だ。
SEALDsは、Students Emergency Action for Liberal Democracy-sの略。「自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション」と称し、東京を拠点とする10代、20代の若者が、国会で審議中の安全保障関連法案に反対の声を上げている。
日本国憲法では、第10章を「最高法規」にあて、次のように定めている。
第98条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
(2 略)
第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
憲法は、この国を形作る最高法規で、これに違反する形での法律は本来なら許されない。そして、国会議員や公務員などには憲法を守る義務があり、憲法は権力者の暴走を縛るためのものでもある。
ところが、安全保障関連法案は、これまで認めてこなかった集団的自衛権の行使を、憲法の解釈変更によって可能にしようとするものだ。憲法学者の大多数が違憲としており、永久の戦争放棄を定めた9条に違反することは明白だ。たとえ成立しても、98条違反で無効となるのが法の道理だろう。
また、そうした憲法違反の法律を、数の論理によって強行採決しようとしている自民・公明両党の国会議員は、公務員の憲法遵守を決めた99条違反を犯していることになる。
現在、国会内で起こっていることは、現政権によるクーデターであり、非暴力とはいえ、立憲主義国家としては絶対に許してはならないことだ。
SEALDsの前身は、2013年12月に成立した特定秘密保護法に反対するために集まった大学生の集団「SASPL(サスプル:Students Against Secret Protection Law/特定秘密保護法に反対する学生有志の会)」。
そのSASPL時代の経験を生かし、今回、危機に瀕している日本国憲法を守り、安保法制に反対の声を上げるために、「SEALDs」と名前を改めて、今年5月3日憲法記念日に発足し、活動を始めたのだ。
安保法制の問題点をわかりやすくまとめた動画やパンフレットを作成したり、イベントなども行なっているが、注目度が高いのが街頭で行なわれるデモだ。毎週金曜日の夜に国会前で行なわれている抗議行動では、シュプレヒコールの間に必ずスピーチが挟み込まれる。
SEALDsのデモというと、節をつけながら、「憲法守れ」「戦争反対」「立憲主義ってなんだ?」「民主主義ってなんだ?」「なんか自民党感じ悪いよね」などとラップ調で叫ぶコールが若者らしいと話題になることが多い。
だが、彼らのデモの肝になっているのは、学生自身の言葉で語られるスピーチのほうだ。
「なぜ、安保法制がおかしいと思うのか」「なぜ、安保法制に反対するのか」。その自分の意志を、自分の生活にリンクさせながら、自分の言葉で語る若者たち。その言葉に嘘や打算はなく、純粋に「安保法制を止めたい」という気持ちが伝わってくる。
彼らにはその言葉を裏付けるだけの知識があり、行動がある。そして、彼らの言葉の主語は、いつも「私は」だ。誰かが使った言葉ではなく、誰かのせいにするわけでもなく、「私が、この法案を止める」という意志のもとに行動をしている。だからこそ、多くの人の胸を打ち、安保法制に反対するすべての世代の共感を呼んでいるのではないだろうか。
そんな彼らの行動は、学者や国会議員、知識人たちを巻き込み、今、大きなうねりとなっている。
6月初旬、数百人で始まったSEALDsの国会前の抗議行動は、その後、安保法制が衆議院の特別委員会で採決された7月15日には6万人(主催者発表)に膨れ上がった。
東京で始まったSEALDsは地方都市に広がり、現在は関西、東北、琉球(沖縄)でも立ち上がっている。あえてSEALDsとは名乗らないまでも、現政権に「ノー」の声を上げる10代、20代の若者の姿も全国各地で見られるようになっている。
そして、8月23日には、北は北海道から南は沖縄まで、全国64か所で安保法制に反対する若者のデモが行なわれたのだ。
こうした若者による安保法制反対の声は世界にも広がり、パリやベルリン、カリフォルニアなどでもSEALDsの立ち上げが計画されているという。
日本国憲法の第3章には、国民の権利及び義務について定めた次の条文がある。
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
民主主義は与えられるものではない。
自由と民主主義を守り続けるには、市民一人ひとりが主権者として責任を持ち、声をあげ、意志を表明し続けなければならない。民主主義は、自らの手で守り続けなければ、為政者の手で簡単に壊せてしまうガラス細工のようなものだ。
この国の大人たちが忘れていた憲法12条の理念を、今、若い彼らによって教えられているように思う。
SEALDsのデモでは、コーラーの「民主主義ってなんだ?」という問いかけに、参加者は「これだ!」と答える。
「民主主義って、なんだ?」
「民主主義は、これだ!」
おかしいことには、「おかしい」と。いやなものには、「いやだ」と。声を上げ続けることが、民主主義を守る唯一にして、最良の手段だということをSEALDsのデモは訴えかける。
6月から毎週金曜日の夜に行なわれてきたSEALDsのデモは、参議院での安保法制の審議が終わる9月中旬まで行なわれる予定だ。