なんだか体の調子が悪いというとき、自分の症状をネットで検索してみる御仁は多いことだろう。結果、適切な処置が見つかったり、心配無用という結論に達することもあるが、その精度はいかほどのものか。医療全般に関する素地があってはじめて、「正解」に近い情報が得られる。「自分の体のことは自分がいちばんよくわかる」とは限らないのだ。

 「ググった」あげくに、素人判断で誤った病気の判断をしてしまうことを、俗に「Google症」という。体の調子に関しては医師の判断をあおぐか、市販薬を購入するにしても、薬剤師に相談してみることが基本だ。ところが、ネットの情報をうかつに信じてしまうと、症状とはまったく関係のない薬を購入してしまうこともある。これでは治るものも治らない。

 ネット検索では、「重病」「死」などといったワードがヒットすることが多い。これもいけない。自分は深刻な病から逃れられないのではないか、という不安におそわれるのである。その結果、病院に行っても医者が信用できない。「ググった情報と違うので間違った診断なのだ」と思い込むのである。医療の世界にはたしかに「誤診」という難しい問題がある。が、ネットという世界も、それなりにウソや誤りが多いことを理解すべきだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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