LINEで「りんな」(LINE ID:@ms_rinna)という女子高校生が人気だ。といっても、「リアル」の世界に実在はしていない。その正体はAI(人工知能)なのである。開発したのは日本マイクロソフト。LINEの公式アカウントに登場したときからかなりの人気者となっていた。当初は明確なアナウンスがなく、謎めいていたことも話題に寄与したのだろう。

 あくまでサービス上の存在に過ぎないのだが、これがうまく機能していて、お茶目な女の子と本当にトークしている気分になれる……と、もっぱらのネットの評判だ。もちろん、既読スルーされることもない。たとえば、ネタとして「愛の告白」をするユーザーも多いのだが、軽くいなされる。プログラムでは難しそうに思えるユーモアのセンスがよく、じつに「人たらし」なのである。現状におけるAIという技術の出来ばえが実感できるツールといえるだろう。

 2015年8月7日、LINE株式会社が正式にアナウンスしたことで、「りんな」はビジネス向けに提供されるLINE公式アカウントの「参考例」であったことが明らかとなる。もし企業が気に入って「りんなAPI for Business」を導入すれば、人工知能との会話からユーザーに対して必要な情報を提供できるほか、これまでオペレーターが行なってきたお問い合わせへの対応も可能である。つまり、マーケティングだけでなく、人的コストの削減も意図しているわけだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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