チョウザメの卵の塩漬け「キャビア」。高価であまり食べる機会がないが、コリコリ、プリプリとしたあの食感がたまらない。フォアグラ、トリュフとともに世界三大珍味として知られる。ロシアやイランが主産地であるが、日本国内でも最近は宮崎や広島、岐阜など各地で養殖・生産されている。実はついこの間まで、日本国内からの輸出が禁じられていた。

 絶滅の恐れがあることから現在、チョウザメはワシントン条約でその卵(キャビア)も含めて国際取引が制限されている。ただ、チョウザメの養殖が盛んになり、養殖場やキャビアの加工・製造施設の登録制度、容器に貼る国際統一ラベル制度(原産国、採取時期などを明記)などが整備されていれば、輸出規制の対象外となっている。

 日本ではそうした制度がこれまで未整備で、国内で生産しても輸出ができなかった。農水産物の積極輸出を掲げる日本政府だが、対応が遅れた感は否めない。

 養殖業者などの要望を受け、政府は新たに登録制度を整備し、2015年9月解禁を決めた。早ければ2016年度にも輸出が始まる。アジアの富裕層への売り込みが期待できるという。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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