二次元の「萌え」に興味がなくとも、ネットのユーザーであれば時折目にふれる「ラブライバー」なる言葉。その意味するところは、架空のアイドルグループを題材とした『ラブライブ! School idol project』のファンのことだ。

 『ラブライブ!』はアスキー・メディアワークス、ランティス、サンライズによるアニメ、音楽、ゲームなどのメディアミックスプロジェクトで、2010年にスタートした。ビジネス的には順調に推移し、今年公開の映画も大ヒット。映画版の成功は、ラブライバーの存在がアニメ好き以外にも認識される、一つのきっかけになったのではないだろうか。その勢いは止まらず、2013年に民放で放送されたテレビアニメ版が、2016年1月にNHK Eテレでも放送されることになった。

 2015年の「新語・流行語大賞」のノミネート語にまでなったラブライバーだが、ネット界においては悪評も存在する。イベントや「聖地(作中の舞台のモデルとなった場所)」で騒ぎを起こすなど、一部のファンの愛情ゆえの行き過ぎた行動が伝えられているのだ。そこまでひどくなくとも、全身を過剰にキャラクターグッズで固めた「ガチオタ」たちが街を闊歩する姿に対し、アニメに無関心な層が違和感を感じているとの声もある。こうした世間の反応に、冷静なファンたちは心を痛めているらしい。

 コンテンツとしての『ラブライブ!』自体は、キャラクターの魅力など、評論家筋でも非常に評価が高い。アイドルを扱った作品であるがゆえに、応援する気持ちのうえでの熱狂を誘いやすいところがあるのだろう。じつに罪つくりな作品といえる。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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