猫の醸し出す愛らしさは、いつの時代でも人気だっただろう。だから、改めて「いま猫がブーム」といわれたところでピンとこないかもしれないが、ビジネス的な話でいえば、たしかに「きている」といえそうだ。

 その例は枚挙にいとまがない。いまや「猫カフェ」は東京だけではなく日本全国にある。書店でも関連書籍が目立って多く、昔からネコを被写体とする仕事でも名高い岩合光昭(いわごう・みつあき)氏の写真集も改めて売れている。スマホ向けのゲームでは、『ねこあつめ』(開発元:ヒットポイント)が大ヒットした。グッズもエンタメも、とにかく猫、ネコ、ねこ。このようなネコに関するビジネスの好調を、最近は「ネコノミクス」と称する。安倍内閣の「アベノミクス」からきていると思われる。

 地方もまた、猫に注目している。2015年にこの世を去った貴志駅の「たま駅長」は、和歌山電鐵の運営におおいに貢献したが、このことは猫が観光の切り札となる可能性を示唆したといえよう。近年、「日本最北の猫島」などと呼ばれる田代島(たしろじま/宮城県石巻市)などが、猫好きのあいだで知名度を増している。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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