国際通貨基金(IMF)は、中国通貨・人民元について特別引き出し権(SDR)の構成通貨に組み入れることを決めた。2016年10月からの実施。これにより人民元は国際金融市場で新たに国際通貨として位置づけられることになる。

 SDRはIMFがその出資比率に応じて加盟国に配分する「仮想通貨」である。現在、米ドル、ユーロ、円、英ポンドで構成されている。加盟国が通貨危機に見舞われ、外貨不足に陥った際は、SDRと引き換えに米ドルなど必要な外貨を融通してもらえる。

 SDRに人民元が構成通貨として加えられた背景にあるのはいうまでもない。世界経済における中国の存在感が高まっているからだ。いまや中国はアメリカを抜いて世界最大の貿易国だ。ただ、現時点での人民元の採用には疑問符もつく。中国政府の通貨政策が不透明で、必ずしも人民元が「自由に利用可能」と言えないためだ。中国政府には人民元が国際通貨と胸を張れるよう、一層の金融改革はもちろん、経済政策全般の透明性を求めたい。

 国際金融の世界で人民元の存在感が高まる一方で、円の存在感は低下するとの懸念がある。

 中国主導でアジアインフラ投資銀行(AIIB)も発足した。日本の円も何らかの対策が求められている。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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