1975年から2006年まで、新潮社では「作家自作を語る」というテレホンサービスを行なっていた。新刊本を著者みずからが肉声で紹介するというもの。ネット社会のいまとは違い、カセットテープの記録を約3分にまとめ、留守番電話で流していたアナログな時代のサービスである。同社のホームページによれば、「約1,000名の著者による約2,000件の談話を記録」した貴重な音声資料。10年以上も死蔵されていたのは、もったいないことであった。
それが4月より、徐々にネット上で公開されていくことになった。第一期24人のうちでは、有吉佐和子『複合汚染』、城山三郎『官僚たちの夏』、向田邦子『思い出トランプ』、井上ひさし『吉里吉里人』と、あまりにも有名な名作について語られている。もはやお目にかかることがかなわない伝説たちとの邂逅。そもそもメディアへの出演がほとんどなかった作家、たとえば藤沢周平の声を聴けるなどとは、感慨深いことだ。
小説が長く生き残り続けるために、いまは亡き作者みずからの宣伝が駆り出される。これはなにやらSFめいた、未来的な感覚すらある。本の世界が不況といわれて久しいが、老舗の出版社にはまだまだできることがありそうだ。
それが4月より、徐々にネット上で公開されていくことになった。第一期24人のうちでは、有吉佐和子『複合汚染』、城山三郎『官僚たちの夏』、向田邦子『思い出トランプ』、井上ひさし『吉里吉里人』と、あまりにも有名な名作について語られている。もはやお目にかかることがかなわない伝説たちとの邂逅。そもそもメディアへの出演がほとんどなかった作家、たとえば藤沢周平の声を聴けるなどとは、感慨深いことだ。
小説が長く生き残り続けるために、いまは亡き作者みずからの宣伝が駆り出される。これはなにやらSFめいた、未来的な感覚すらある。本の世界が不況といわれて久しいが、老舗の出版社にはまだまだできることがありそうだ。