自民党内で厚生労働省の分割論が取りざたされている。旗を振るのは小泉進次郎衆院議員。小泉氏ら若手議員でつくる「2020年以降の経済財政構想小委員会」が、同省を二つないしは三つに分割する提言書をまとめ、2015年5月12日、稲田朋美政調会長に提出したからだ。

 提言は、(1)年金や医療、介護を担当する「社会保障」、(2)少子化対策、子育て支援を担当する「子ども子育て」、(3)雇用や女性支援を担当する「国民生活」に厚労省を3分割する案などを提唱した。

 厚労省は2001年の中央省庁再編で厚生省と労働省が統合して生まれた。しかし、予算規模で、厚労省所管は2016年度でいえば政府予算の96兆7218億円に対し30兆3110億円。これは31%に相当する。そこまで業務が肥大化しているというわけだ。国会答弁も厚労大臣1人がこなしている。今後、超高齢化社会が本格化するとともに子育て問題も喫緊の課題となっており、より腰を据えて取り組むべきとの指摘もある。

 これに対し、厚労省や厚労族議員からは「国土交通省も巨大官庁だ。厚労省狙い撃ちではないか」「参院選挙を意識したアピール」「人員を増やせばいい話」などと反発する声が漏れてくる。分割論の背景には、前述のように膨れ上がった社会保障関係費に抜本的なメスを入れる狙いも透けて見えるという。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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