テレビドラマ『ウォーキング・デッド』や、ブラッド・ピット主演によるビッグバジェット作品『ワールド・ウォーZ』など、海外では人気ジャンルといわれる「ゾンビもの」。一方で日本においては、マニアックという扱いに甘んじていた。品川ヒロシ監督の映画『Zアイランド』(2015年)など、毎年コンスタントに製作されているにもかかわらず、である。
親しい家族や隣人が豹変して襲い掛かってくるゾンビは、国や民族を越えて、怖さを共有できる対象だ。だが、火葬の文化に生きている我々は、歩く死体にいまいちリアリティを持てない、という説もある。そこをクリアしてきたのが、今年公開された『アイアムアヒーロー』(佐藤信介監督)である。ここで描かれたのはウィルスに正気を乗っ取られた「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれる存在であり、死体が急に動き出したわけではない。恐怖感は現実に即している。
『アイアムアヒーロー』はマニアたちもうならせた。花沢健吾の漫画原作だが、映画化に際して大泉洋、有村架純(ありむら・かすみ)、長澤まさみとメジャー級のキャストが発表されたとき、少なくとも原作ファンは不安を感じた。「描写がぬるくなる」と予想したのだ。だが、出来上がった作品は容赦のないシーンの連続。もちろん、こうした描き方を苦手とする観客の拒否反応も生んだが、結果としてはヒットした。ジャンル的に、万人が受け入れる映画にしては作る意味がない。その「賭け」に成功したのだ。
業界には「和製ゾンビ映画は大きくヒットしない」という偏見があった。だが本作で、日本のゾンビものも世界水準に至ったといえよう。今後のこのジャンルには、大きな期待が寄せられている。
親しい家族や隣人が豹変して襲い掛かってくるゾンビは、国や民族を越えて、怖さを共有できる対象だ。だが、火葬の文化に生きている我々は、歩く死体にいまいちリアリティを持てない、という説もある。そこをクリアしてきたのが、今年公開された『アイアムアヒーロー』(佐藤信介監督)である。ここで描かれたのはウィルスに正気を乗っ取られた「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれる存在であり、死体が急に動き出したわけではない。恐怖感は現実に即している。
『アイアムアヒーロー』はマニアたちもうならせた。花沢健吾の漫画原作だが、映画化に際して大泉洋、有村架純(ありむら・かすみ)、長澤まさみとメジャー級のキャストが発表されたとき、少なくとも原作ファンは不安を感じた。「描写がぬるくなる」と予想したのだ。だが、出来上がった作品は容赦のないシーンの連続。もちろん、こうした描き方を苦手とする観客の拒否反応も生んだが、結果としてはヒットした。ジャンル的に、万人が受け入れる映画にしては作る意味がない。その「賭け」に成功したのだ。
業界には「和製ゾンビ映画は大きくヒットしない」という偏見があった。だが本作で、日本のゾンビものも世界水準に至ったといえよう。今後のこのジャンルには、大きな期待が寄せられている。