「クオータ(quota)」は英語で、「割り当て」という意味がある。クオータ制度は、性別や国籍などの属性別に枠を割り当てる仕組み。いま永田町で、女性議員の割合を増やす「クオータ制」を導入しようとする動きがある。

 自民、民進、公明など超党派の議員連盟が二つの法案、(1)政治分野における男女共同参画推進法案、(2)公職選挙法改正案の国会提出を目指していた。

 (1)はいわゆる理念法で、「候補者の数ができる限り男女同数となることを目指さなければならない」などと提唱。(2)はその対処策として、衆院の比例代表候補について、男女交互に当選させる方法を選べるようにする、というものだ。

 安倍政権は、女性の登用を進めるため、すでに女性活躍推進法を2015年に成立させ、企業で女性管理職の数を増やすことなど、女性の活躍の場を積極的に設けようとしている。

 そこで「企業だけでなく国会や地方議会でも」ということだが、前述の二つの法案の国会提出について、自民党がブレーキをかけた。

 2016年5月25日の同党の会合で、賛成の声の一方で異論が噴出したというのだ。「(法案提出は)拙速ではないか」「男女同数という表現は、いかがなものか」などの意見が出たという。

 クオータ制度は男性議員からすれば「逆差別」と受け止められているのだろうか。当選に向けて同じように努力をしても「女性のほうが優遇されるのは不公平だ」というわけだ。

 その結果、野党4党のみの共同提案のかたちで(1)が5月30日に衆議院に提出された。

 自民・公明・おおさか維新の3党は、「男女同数」にかえて「男女均等」の文言を盛り込んだ(1)の法案を秋の臨時国会に提出したいとしている。

 なお、民進党は単独で、同日の30日、(2)を衆議院に提出した。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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