公職選挙法の改正で、選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられた。2016年7月10日投開票の参院選では、新たに、18歳と19歳の約240万人が一票を投じることができる。高校生(18歳)の有権者が誕生するわけで、学校現場では、「主権者教育」が本格的に進められようとしている。

 そもそも主権とは何か。「国家の政治のあり方を最終的に決定する権利」のことだ。日本国憲法は前文で、「主権が国民に存する」と明記し、「国民主権」を唱っている。主権者教育は、生徒に対し、主権者として必要な政治意識、知識・教養などについて、教え、指導することだ。

 これまで、高校の教育現場では「政治的中立」をどう確保するかが壁になって「現実の政治」について取り扱うことがタブー視されてきた。しかし、18歳の高校生にも選挙権が与えられたとなれば、避けることはできない。

 文部科学省と総務省は2015年に主権者教育に用いる副教材を作成し、全高校生に配布した。それによると、授業では討論や模擬選挙、模擬議会を行なうなど実践的なものになっている。

 原発再稼働問題や安全保障など、世論が真っ二つに分かれ、授業で扱いづらいテーマも確かにあるが、政治家や政党も高校生にメッセージを発信する必要がある。もちろん、教員の力量も問われている。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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