いわゆる「実用書」のジャンルに属さなくとも、売れる本にはなにがしか「実生活の足しになる」要素があるという。今年上半期のベストセラー、『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)もそれである。「読むだけでお子さんがすぐ眠くなる、眠る!『心理学的効果』が実証済み」(公式ホームページの内容紹介より)というふれこみだ。たしかに、寝かしつけに苦労していた親たちからの評判は高い。
スウェーデン人の作者、カール=ヨハン・エリーン氏は絵本作家でなく行動科学の研究者で、その知見を『おやすみ、ロジャー』に応用している。たとえば、文中で何度か繰り返されるフレーズは、潜在意識を書き換える「アファメーション効果」を狙っている。子どもに暗示をかけて、「眠る訓練」をしているようなものだ。
本作には「つまらない」といった反応もある。たしかに、うさぎのロジャーが「あくびおじさん」を訪ねるという筋書きは、子どもが喜びそうな山あり谷ありの展開とはほど遠い。だがすべての子にではないにせよ、無意識のうちに眠りのコツを学んでいく感覚自体には、ある種の楽しさがあるようだ。日本だけでなく世界中で売れている、まさにマジックのような本である。
スウェーデン人の作者、カール=ヨハン・エリーン氏は絵本作家でなく行動科学の研究者で、その知見を『おやすみ、ロジャー』に応用している。たとえば、文中で何度か繰り返されるフレーズは、潜在意識を書き換える「アファメーション効果」を狙っている。子どもに暗示をかけて、「眠る訓練」をしているようなものだ。
本作には「つまらない」といった反応もある。たしかに、うさぎのロジャーが「あくびおじさん」を訪ねるという筋書きは、子どもが喜びそうな山あり谷ありの展開とはほど遠い。だがすべての子にではないにせよ、無意識のうちに眠りのコツを学んでいく感覚自体には、ある種の楽しさがあるようだ。日本だけでなく世界中で売れている、まさにマジックのような本である。