パナソニックのオーディオブランド「テクニクス」は、創設50周年を迎えた今年、レコードプレーヤー「SL-1200GAE」を発表。33万円という価格設定にもかかわらず、国内ぶん限定300台の予約がわずか30分で埋まってしまった。いま、アナログレコードは復権のときを迎えている。「ハイレゾ」など新技術の時代においても、その味わい深い音の質感は健在だ。また、音楽がデータと化した味気ない状況で、美麗なジャケットとともに「所有する」楽しさが改めて見直されてきてもいる。

 テクニクス、レコード針のメーカー・ナガオカ、国内で唯一レコード盤のプレスを行なっている東洋化成の3社は、4月に「レコード再発見プロジェクト(Record Rediscover Project)」を発足させた。イベントなどを通して、さらなるアナログレコードの魅力の発信につとめるという。音楽配信事業の影響でCD生産数が減少する一方で、アナログ盤の生産は着実に伸びている(ちなみに、これは日本だけでなく世界的な傾向だ)。オーディオ業界にとって、いまは商機である。

 このレコード人気で特筆すべきことは、シニア層だけでなく、若者の支持も集めているという点だ。近年はPerfume(パフューム)など有名アーティストもアナログ盤を発売することが多くなっている。音へのこだわりは世代を問わないということだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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