国内の街並みに高層ホテルが増えそうだ。

 国土交通省は2016年6月、自治体にホテル用地の容積率を大幅に緩和するよう促す通知を出した。現行の容積率の1.5倍まで、300%分の上乗せ分までを認めることになった。

 容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合を示した数字のことをいう。例えば、400平方メートルの敷地に床面積200平方メートルの5階建てビル(延べ床面積1000平方メートル)を建てると、その容積率は250%ということになる。

 実際の容積率は自治体ごとに判断する。都市部の自治体に対しては、さらなる容積率の緩和も柔軟に認めるという。

 容積率緩和を打ち出したのは、訪日外国人観光客の急増に伴い、全国的に「ホテルの客室不足」が問題となっているからだ。

 2015年の訪日客は、前年比47.1%増の1973万人で過去最高を記録している。政府は、東京オリンピックが開催される2020年までに、4000万人の目標を掲げている。容積率の緩和が後押しする形で、これまで以上に客室数の多い高層ホテルが建設されることを期待している。

 ホテルの客室不足を巡っては、空き家やマンションの空き室を利用する「民泊」を政府は推し進めている。しかし、既存のホテル・旅館業界や、隣接の地域住民の猛反発を受けているのが実情だ。容積率の緩和は、ホテル・旅館業界への配慮の側面もあるだろう。

 容積率緩和で、ホテルの建設ラッシュも予想される。人手不足や資材高騰などの影響も考慮する必要がある。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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