安倍政権が2016年9月に新設した会議。安倍政権は経済成長のための「官民協力の司令塔」と、位置づけている。

 議長は安倍晋三総理。石原伸晃(のぶてる)経済再生相、菅義偉官房長官ら関係閣僚と、経団連の榊原定征(さだゆき)会長、日立製作所の中西宏明会長、南場智子(なんば・ともこ)ディー・エヌ・エー会長ら6人の民間議員で構成する。初会合(2016年9月12日)で安倍総理は、「新たな技術革新の芽を社会変革につなげるような産業構造に改革していく」と、会議の狙いを強調した。

 取り組むテーマの柱は4つ。(1)「第4次産業革命」とイノベーション、(2)企業関連制度改革、(3)医療・介護、(4)ローカル・アベノミクス(地方活性化)。

 それぞれに担当の下部組織を設け、来夏を目途に「日本再興戦略」(成長戦略)をまとめる方針。具体的な検討項目は、農業、観光、医療・介護、人口知能(AI)といったところだろうか。

 成長戦略はアベノミクスの「3本の矢」のうちの3本目の矢である。未来投資会議の新設の背景には、その成長戦略が、うまく進まず、民間企業の投資や個人消費の拡大に結び付いていないという事情がある。

 未来投資会議の新設に伴い、これまで成長戦略の策定を担ってきた「産業競争力会議」や、政府と経済界代表による「未来投資に向けた官民対話」の2つは廃止された。2つの組織を一本化したわけだが、「看板の付け替え」であってはならない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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