日清食品の看板「カップヌードル」も発売から今年で45周年。広報によれば、世界累計販売食数が400億食を達成したという。旅行などで海外のカップめんを食べると、いかにも美味しくない。あらためてカップヌードルの実力に気づかされることになる。「世界最初のカップめん」は、生まれながらにして「世界最高のカップめん」でもあるわけだ。

 カップヌードルはエビやたまごなど具材に対する評価も高い。古くからのファンが愛する「謎肉」もしかり。もちろん俗称(正式には「ダイスミンチ」と呼ばれるらしい)なのだが、ネットを通してそれなりに知名度がある。どんな肉をどんな製法で作っているのか、わからないのが「謎肉」の「謎」たるゆえんだった。いまでは、豚や野菜のミンチをフリーズドライしたものとネットで簡単に調べられる。

 2009年、カップヌードルのアイデンティティの一つであったはずの謎肉は、「コロッとしたチャーシュー」から来たネーミングの「コロ・チャー」にとって代わられた。これにガッカリしたという声は多い。コロ・チャーは食感や味を追究したスグレモノではあるのだが、「ずっとそのままいてほしかった」ファンの気持ちは無視できなかった。2015年以降は復活を遂げ、各ラインナップで謎肉とコロ・チャーが共存している。

 すこし悪ノリの感もあるが、今年は「カップヌードルビッグ “謎肉祭”肉盛りペッパーしょうゆ」なる商品が発売された。メーカー側が謎肉の呼び名を認めたことも興味深い。売れすぎで一時販売休止になったというニュースは、小さな謎肉の大きなスター性を感じさせる。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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