日本人の4人に1人が、過去に自殺を考えたことがあるという事実が明らかになった。

 調査したのは日本財団(2016年9月7日公表)で、調査会社に登録している20歳以上のモニターにインターネットを通じて調査を行ない、男女約4万人から回答を得たもの。その結果、25.4%が「本気で自殺したいと考えたことがある」と答えており、そのうちの6.2%が「いま現在、自殺を考えている」という。

 実際の自殺者は40~60代が多いが、今回の調査による自殺念慮は20代がもっとも高く34.9%。若い世代に高い自殺願望があることが明らかになった。また、性別では女性が28.4%で、男性の22.6%を上回っている。原因は男性が「勤務問題」「経済生活問題」「健康問題」、女性が「家庭問題」「健康問題」「学校問題」の順となっている。

 この調査結果から性別や年齢別の自殺率を計算し、国勢調査の結果と掛け合わせると、全国に53万5000人の自殺未遂経験者がいることが推計される。

 自殺を考えたことがある人の74%、自殺未遂した人の51%が「誰にも相談しなかった」と答えており、孤独のなかで自殺を意識している実態が浮き彫りになった。

 実際の自殺者は、東日本大震災のあった2011年以降減少傾向にあるが、それでも2015年は2万3121人が自ら命を絶っている。とくに、15~39歳の若い世代の死因のトップが自殺という深刻な状況になっている(厚生労働省「平成27年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)。

 若い世代が希望をもって生きられる社会にするにはどうすればいいのか。2016年3月、自殺対策基本法が改正され、自治体ごとの対策づくりが義務づけられたが、社会全体で考えたい問題だ。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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