「おしゃれなのにフェロモンもたっぷり」という意味。お肌からジュワッと血色が滲み出るような火照った感じのチークがポイント。

 たしかに昨年あたりは、まぶたのすぐ下あたりや唇をやたら真っ赤っかにした、おてもやんチックな若い女性が街中や合コンの席などで目立っていた印象もなくもないが、この一歩間違えれば「安っぽい酔いどれビッチ風」のメイクは、男性側にめっぽう不人気であったらしく、ブームは一気に沈静の方向へと向かっているのだそう。メイクにかぎらず、なんだかんだ言って“男ウケ”の悪いモノは女性のあいだで、総じて定着しづらいのだろう。

 ところで、筆者は10年ほど前、とある若年向け男性ファッション誌の編集長を務めていたことがあり、そのとき雑誌のコンセプトキャッチとして「フェロ兄(にい)=フェロモンたっぷりなお兄(にい)系男子」というキーワードを前面に押し出してみたんだが、悲しいくらいものの見事にブレイクしなかった。やはり「フェロモン」という、昨今では「お色気」だとか「エロチック」だとかの代名詞として意訳されつつある、「爽やか」とは対極に位置するトレンドは、あくまで“カウンターカルチャー”としてしか(少なくともここ日本では)機能しないのが世の常なのかもしれない。倖田來未(こうだ・くみ)にせよ、サイン会で女性ファンの行列までできた某カリスマAV男優にせよ、ちょっと油断しているうちに見る見る失速しちゃったし……。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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